過保護なロッキンと、放任主義のフジロック



フジロック / sabamiso


こんにちは。夏ですね。
この時期はロックフェスが多くて盛り上がります。ただ当方はこの夏はフェスはお預けです・・・

ロック好きの端くれとしてフェスには過去10種類以上行きましたが、今日は元“ロキノン厨”から見たフジロック、離れてから振り返るロッキン、という話をしたいと思います。
ロッキン、フジロックに行ったことない人は空気感の参考になればと思います。

ロキノン系に染まった大学時代と、聖地“ロッキン”



まず、僕自身も元ロキノン厨の端くれとして、実際に過去、学生時代にCOUNTDOWN JAPAN、社会人になってからROCK IN JAPAN FES、今年はJAPAN JAM BEACHにも行きました。
※この「いつ体験したか」も結構重要なのです。

大学時代、関西の貧乏学生にとってROCK IN JAPAN FES、あえてこの場では「ロッキン」という略称を使いますが、ここはまさに聖地で、学生時分はついに茨城までは行けませんでした。
その代わり、当時大阪開催があったCOUNTDOWN JAPANには3回ほど行きましたね。

そして社会人なりようやくロッキンに行ったのですが、このフェスに抱いた印象、違和感は、2013年の記事ですが、このブログにそっくりそのまま書いてあります。



はじめにことわっておきますが、皆さんおっしゃるとおり、ロッキング・オンさんの運営は本当に素晴らしいです。
日本最大級の動員を誇るロックフェスにも関わらず、動線設計が見事。
人間渋滞にはまることもなく、トイレや露店で30分待ち、ということもありません。
このあたりに不満を持つ人は(少なくとも他のフェスに行ったことのある人なら)ほぼいないと思います。

ただ、まず間違いなくこう思います。

ここはリア充の巣窟か……!?


思わなかったとしたら、あなたは素敵なリア充認定です。
ことしJAPAN JAM BEACHにも行ったのですが、大半は20歳前後の若い男女。渋谷か原宿を歩くノリで、例によって(バンドTシャツではなく)オフィシャルTシャツを着て、
「金爆やばいんだけど〜〜」とか話してる。(確かに金爆はやばかった。うん。)
ここに自分なんかがいてはいけないんじゃないかという、勝手に排他的な感覚を覚えます。
これは自分が30手前のおっさんになっただけ、という部分も大きいですが…。
大学時代に3回行ったCOUNTDOWN JAPANは、
「それが全て」だったので、そんな感覚は微塵もなく純粋に楽しんでいました。

それが全て。
これは結構重要な感覚です。
当時大学生だった(2006〜2008年ごろ)の自分にとって、たとえば
「アジカンとACIDMANとサンボマスターと9mmと木村カエラが一堂に会する場所」といえば、
もう「そこしかなかった」。
これは選択肢が少なかったというよりは、そこに行けば他に行く必要がない、チケットは高いけど超オトクなイベントだったのです。
今で言うと、「ワンオクとMAN WITH A MISSIONとゲスキワと星野源とー」、って感じでしょうか。
※今見たらアジカン以外のメンツは今年のロッキンにもいるんですね笑

元ロキノン厨が見た“フジロック”



去年(2014年)の話なのでレポなんて野暮なことはしませんが、
ロッキンしか行ったことのない人がフジロックに来たら、あまりにフリーダムすぎてションベンちびっちゃうかもしれません。
オイオイする人もおらず、キャンプが中心の人もいれば、ゴンドラで山頂まで行く人もいます。

フジロックは、行ってみると全然そんなことはないのですが、行く前は「素人お断り」「上級者向け」のような印象をもっていました。

まず洋楽を知らないといけない。
Franz FerdinandとかArcade Fireとか言われてもピンと来ない。。
そして場所としてもハードルが高い(交通手段ではなく、過酷そうという意味で)。

それゆえ僕もかなり重い腰を上げて参戦を決意しましたが(それこそライジングサンに行ったときと同じくらいの決断だった)、
行けばパラダイス、このフリーダムな空間がすべてを包み込んでくれました。
洋楽も、「もっと前から聴いていればよかった」とは思いますが
「知らないから来るんじゃなかった」とは全く思いません。
新しい扉を開いてくれてとてもありがたいです。

「ステージを重視する人」は比較的少ないけれど、みんな「音楽を聴く姿勢」はとても真摯。
ロキノンはどちらかというと、このお祭りを媒介にして、仲間とワイワイ楽しんだり、夏のサクセスを期待してたりするような空気が強い。


過保護なロッキンと、放任主義のフジロック


初心者におすすめのフェスがあるかと聞かれたら、(趣味にもよりますが)まずはロッキンと答えるでしょう。
あのホスピタリティには本当に安心感があります。

ただ、人によっては居心地の悪さ、場違い感を感じるかもしれません。
フジロックは確かに過酷です。が、全ての人を受け入れてくれる寛容さがあります。

2015年のフジロックは、日本人アーティストの増加が物議をかもしたようです。
現に興行的にも成功しているようで、その変化は決して悪く無いと思います。
(僕はラインナップを見て、「あれ、知らない人が少ない」という謎のがっかり感をおぼえました。)

余談ですがロッキンは立地をあまり重視していません。
中に何があるかが重要で、そういう意味では都会的であり、人工的です。

フジロックは苗場という、斜面ばかりで雨がよく降る、まるで「自然の過酷さを思い知らせる」ことがコンセプトのような場所です。

他のライジングサンやアラバキも、地理的な「場所」に意味を持たせてることが多い。
ライジングサンは北海道らしく恐ろしく広い大自然を満喫できるし、
アラバキは311以降特に「東北」でフェスをやる意味に重きをおいています。

ロッキンの「くるり」を許容できるか


くるりはロキノン系の常連でありながら、ラインナップのなかではとんでなく異彩です。
BPMは一気に落ち、フェスだからといって人気の曲ばかりやるわけでもない。
オーディエンスを煽ることもない。淡々と、ものすごく良い曲を演奏する。
ロキノン系を中心に聴いているロックキッズが、くるりがもつ「他の世界」感に、「おっ」となって、他のジャンルの音楽を聴くきっかけになると良いと思う。
そこで「おっ」となったら、他のフェスに行くことも考えるといいと思います。

ま、個人的にはアラバキが一番好きですけどね!
そんな話も今度できればと思います。
それでは。