言わずもがな、人生においてもっとも重要なプロジェクトの一つです。
そしてほとんどの人が一度しか経験しないのに、失敗が許されないかなりハードモードなイベントです。
自分たち夫婦はともにIT系企業勤務ということもあり、せっかくなので巷のプロジェクト管理ツールを使って管理してみようという話になりました。
そこでプロジェクト管理ツールに「Trello」というサービスを使った経験談をお話ししたいと思います。
今後結婚を控えている人や、プロジェクト管理の考えをプライベートに持ち込む事情のある人に、参考になれば幸いです。
※筆者が男なので、男(新郎目線)で書いてある点が多々あります。ご容赦ください。
1. ツールを選ぶ
さて、何のプロジェクト管理ツールを使うか。。ここをつまずくと後で取り返しがつきません。
選定のため、様々なまとめをあさりました。
今回はLIGさんの記事を紹介いたします。
※記事自体は自分たちが使い始めた後のものですが、この記事が紹介数も過不足なく、的を射ていると感じました。
時代はシェア!プロジェクトの進捗などを共有できるタスク管理ツール12選 | 株式会社LIG
ちなみに一番最初に候補に挙がったのは、Facebookのグループ機能でした。
たしかに「3,4人で行く2泊3日の沖縄旅行」レベルであれば十分事足りるのですが、今回は期間が長くタスクも多そうだったので、別のツールを使うことにしました。
ほかにGoogleカレンダーやサイボウズLiveあたりで迷ったのですが、Trelloを選んだ理由は以下です。
- 少人数のプロジェクトに適している(らしい)
- 作りがシンプルなので、自分好みの使い方ができる(らしい)
- スケジュール管理(ガントチャート生成とか)はあまり重要ではなく、ToDoの管理をメインにしたかった
- 使い方がわかればナビゲーションが日本語対応してなくても可
あと当然ながらPCとスマホで同じUIが使えること。
結果的にはTrelloを使って正解でした。
上記の推測も間違っていませんでした。
2. Trelloはこんなツール
Trelloはこんなインターフェースです。 実にシンプルです。
プロジェクト全体を「Board」、その中のカテゴリ分けを「List」、そのなかの各タスクを「Card」と呼びます。
簡単に言うと、「Board」というだだっ広いホワイトボードのなかに、
「List」という間仕切りをつくり、タスクのひとつひとつを、Card、つまり付箋のように並べて、
それを消化していく(捨てていく)ようなイメージのインターフェースになっています。
機能が豊富な感じではありません。
「こういう使い方をしなさい」みたいなものはなく、「まぁ自由に使ってよ」感が強いです。
基本的な使い方の説明は、以下のページがわかりやすいです。
ビジュアル思考派にとって画期的なタスク管理ツール『Trello』 | ライフハッカー[日本版]
カードを整理する感覚でToDoリストやメモ帳、複数人でのタスク管理までこなせてしまう「Trello」 - GIGAZINE
3.【失敗】カテゴリごとに管理したら破綻した
そんなTrelloですが、海外サイト含め、使い方の掟として異口同音に語られていることが有ります。
それは、
「初心者はListを《ToDo》《Doing》《Done》で分けなさい」というもの。
日本語で言うと《これからやる》《今やってる》《終わった》ですね。
これを読んで当時の僕はこう思います。
いやいや、これから何十、何百?というタスクを消化するのに、そんな3段階のリストしかなかったらわけわかんなくなるだろ!
ちなみに、これを真面目に実行するとこうなります。
正直ちょっとわかりにくいですね。
そこで、ToDoのカテゴリごとに並べました。「衣装・アクセサリー」「装飾・展示物」…など。
するとこうなります。
見やすくてキレイですね!
そしてこの分け方は結果的に失敗しました。素直に先人たちの教えに従えばよかったのです。
その理由を説明します。
このカテゴリごとに並べる方法を「カテゴリ案」としましょう。
カテゴリ案を採用していた時は、このCardはこのList、このCardはこのList、と並べます。
そしてそのタスクを消化したら、「Archive」というボタンをクリックします。
これは「もういらないので非表示」ができます。「Done」を表現するわかりやすい動作ですね。
この方法があまりうまく行かなかった理由は、
「このタスク、どのカテゴリ?」ってなる点です。
これは「カテゴリの大小」の話でもあり、「区分け」の話でも有るのですが
たとえば、「引き出物を買う」というタスクは、当日配る「引き出物、縁起物」カテゴリとすべきか、もう少し広げて内祝いとかも含めた「ギフト」とすべきか。
また、「当日のビデオ撮影をお願いする」は「写真/ビデオ」?「当日進行関係」? など・・・。
これは意外とチリツモ(ちりも積もれば山となる現象)で、
「このカテゴリになかったからタスクを追加したら、相方が全く別の場所に既に作ってた」とか
途中でタスクの方向性が変わったりすると「なんかこのタスク、いつの間にか◯◯じゃなくてXXの話してるよね」
みたいなことが起きます。
4. 「ステータス管理」に変えたらすっきりした
やってるうちに気づくのですが、このツールを見て知りたいことは、
「どのカテゴリのタスクが進んでいるか」ではなく、
「このタスクは終わったのか終わってないのか」でしかないのです。
たとえ《ToDo》がものすごい量になっても、
それは「最終的に消化しないといけないもの」であることには変わりません。
当然、「直近やること」と「まだ時間に余裕があるもの」という差はあるので
それはCardに色分けすることでわかりやすくなります。
実際の運用は以下のようにしていました。
- Listは《ToDo》《Doing》《Pending》《Done》に分ける
- Doneは原則Archiveしない(「何が終わったか」ひと目でわかるように)
- 優先度は《High(赤)》《Middle(黃)》《Low(緑)》で色分け
- 片方しかしなくて良い作業は、それを明示する
- 細かい作業はChecklistを使う
- 決まったことは「覚書」Listにまとめる
- Cardは必ず動詞で書く
上4つは、これまでの話でなんとなくイメージが湧くと思います。
下3つについて説明すると、
- 細かい作業はChecklistを使う
例えば上記の「引き出物を買う」の例だと
◯エージェントが取り扱う引き出物のラインナップを取り寄せる
◯引き出物を決める
◯発注する
みたいな、タスクに付随する、細かい作業ですね。
さすがにこれをいちいちCardにすると収拾つかなくなります。
あとは「買うものリスト」とかにも使えますね。
- 決まったことは「覚書」Listにまとめる
Cardの中では、どうでもいいこと含めてコメントのやり取りをします。
そのため、単にそれを《Done》にしただけでは
最終的に「どういう結論になったか」をあとで追いづらいという欠点があります。
これはCardの概要を書く《Description》に書いてもいいのですが
Card自体が、使っているうちにどうしてもレベル感に大小がでてしまうので
「覚書」Listを別で設けて、《Done》の内容のうち、特に重要なものを別Card化すると
「正しいことしか書いていないユートピア」が生まれてわかりやすいです。
- Cardは必ず動詞で書く
これはタスク管理する上で結構重要だなと思いました。
《ToDo》というくらいなので、「何をするか」を明確にしたほうがよいです。
「引き出物」だけだと、「引き出物」をどうしたいのか共有できません。
「引き出物を注文する」というCardを作って、そのなかに「決める」「発注する」という
Checklistがあれば、何をすべきかが明確です。
これは思考の整理上も重要で、「引き出物」というタスクを完了させるために
どんな手順を踏まなければいけないのか、それをわかってるのか分かってないのか。
片方の作ったChecklistが不十分であれば、それを補いましょう。
上記の「引き出物を注文する」の例だと、先に挙げた3つ以外に、こんなのも必要かもしれませんね。
5. ポイントはレベル感を共有すること!
これが一番難しいですが、ToDoの単位をどう捉えるかは人それぞれで
メンバーの中でその共通認識をもつことが大切です。
上記の例で、「引き出物を決める」と「引き出物を発注する」は
同じToDo内のChecklistという考え方もできれば、単に別のToDoと捉えることも出来ます。
どちらが正しいということではありません。
また、結婚式のように2人のプロジェクトであれば、
「共通認識を持つことを諦める」のも一手です。
おそらくこのプロジェクトについてより高いモチベーションを持っているのは新婦側でしょう。
逆に言えば、新郎が「いやいや、こうやったほうが管理しやすいよ」と助言したつもりで、新婦のモチベーションを下げることはプロジェクト全体の失敗につながりかねません。
基本的に新婦がわかりやすいルールに足並みを揃えるのが間違いないでしょう。
6. 今思えば、こうすればもっとよかったかも
たしかに、《ToDo》《Doing》《Pending》《Done》だけだと
はじめのうちは《ToDo》が100とか200とかになる可能性があります。
いくら優先度をつけたといっても、この内容を把握し切るのは大変です。
そこで、《ToDo》だけは作業ごとにカテゴリ分けする、という方法を使っても
良かったかもしれません。
結婚式は(基本的に)一生に一度のプロジェクトなので
「このカテゴリにはこんなに作業があるんだなぁ」
「逆にここは一見大変そうに見えるけど、プランナーに任せれば大したことないな」
といった、「リソースの配分」を考えるのに有効だと思います。
一番大事なのはモチベーションの維持と、「2人で決めた」という事実の共有
これらはあくまで「ツールの活用法」にすぎません。
結婚式は一般的に半年から1年くらいかけて準備を行うことが多く
その間モチベーションを維持するのはけっこう大変です。
最初張り切りすぎて後が続かないとか、双方のモチベーションに差があって喧嘩になるとかはよくある話です。
我々もそうで、結構ほかもそうなんじゃないかなと思うのは、
「新婦側はいろんなところから情報収集してくるが、新郎側はそこまでしない」
という実態です。
知識レベルのスタートラインは同じはずなのに、新婦側のほうが結婚情報誌などをくまなく読んで
いろんな事情を知っているというのは良くある話だと思います。
そこで、
- 情報収集は新婦側
- それをツールに反映させて管理するのは新郎側
といった役割分担ができると良いかもしれません。
ここで「じゃあ情報収集してきてね。漏れのないように!」と指示するのではなく、
「自発的に情報収集してくれたことに感謝」して、「自発的にそれを管理する姿勢」を見せることが大事です。
そして新郎側も必ず陰で情報収集してください。
彼女の収集に漏れや、ソースへの懐疑があると問題です。
「昨日こう教えてくれたけど、こういう記事のサイトも見つけたよ」みたいな話をして
情報を補完しましょう。
そして何より重要なのは、
「片方が決めた」のではなく、「2人で決めた」という事実を共有しておくことです。
でないと、のちのちトラブルがあったとき
「あのときあなたがこう言ったから」「君が◯◯に決めたから」という
どうでもいいポイントで口論になる可能性があります。
「2人で話し合った結果こうなっちゃったけど、こういうふうに軌道修正しよう」
という前向きな議論をするための心得となります。
さいごに
ポイントのおさらいです。
- 作業の「カテゴリ」ではなく、「ステータス」で管理する
- 「決まったこと」と「検討中のこと」は明確に分ける
- タスクのレベル感を共有する
- 2人の役割分担もなんとなく決めておく
- 「2人で決めた」という事実を共有する
自分たちができたこと、あまりできなかったこと、いろいろありますが
今後みなさんが結婚式をするうえで、ヒントになれば幸いです。
ちなみに、調べたら同じようなことをされていた猛者の方がいらっしゃったので、
あわせて共有しておきます。
プロジェクトマネージャーの『挙式準備スケジュール』|Howcoo
Redmineで結婚管理はじめ(させられ)ました - razokulover publog
それでは。